トリュフォーの思春期/L' ARGENT DE POCHE
1976年・フランス映画
監督:フランソワ・トリュフォー 脚本:フランソワ・トリュフォー、シュザンヌ・シフマン 撮影:ピエール=ウィリアム・グレン 音楽:モーリス・ジョーベール 出演:ジョリー・デムソー、フィリップ・ゴールドマン、リシャール・ゴルフィー、シルヴィー・グレゼル、パスカル・ブリュション、イバ・トリュフォー
私はフランソワ・トリュフォー監督作品がとっても好きで、多分フランスの監督だと一等好きなのだと想っている。作品はソフト化されたもの、上映されたものは一応全部観ているほど。この『トリュフォーの思春期』は最初はテレビ放送で観たもの。トリュフォー監督に限らず、フランス映画には独特の思春期映像の優しさ、あたたかさ、美しさがあると想っている。他のお国にも勿論あるけれど。此処は「少女愛惜」と題しているけれど、私は子供たち、少年少女たちが好き!ある限られた刻、思春期という時期に私の心の何かが捉われ続けているようなのだ。なので、実はあまり”ロリータ”という言葉やイメージはどうでも良くて、”思春期”という言葉や”少女”や”少年”、”子供たち”が好きなよう。小説にしても、”少女小説”(少年少女に向けられている)の方をより好んでいるように想う。※矛盾するようながら、愛読書のナボコフの『ロリータ』は少女小説ではない。
この『トリュフォーの思春期』は1976年作品で映画初出演の子供たち(赤ちゃんや幼児たちも)ばかり♪中でも少年パトリック(ジョリー・デムソー)とジュリアン(フィリップ・ゴールドマン)は印象的だった。特に私は最初から黒髪のどこか寂しげな美少年ジュリアンが気になった。でも、この映画は、出演している2歳から14歳までの100人を超える子供たちの日常をそれぞれ描き出してゆく。中にはトリュフォーの娘さまのイバ・トリュフォーも♪
音楽はフランス映画の歴史に欠かせないモーリス・ジョーベール!挿入歌にはシャルル・トレネの『日曜は退屈』が使われている。そうそう、この作品の原題は”おこづかい”という意味。トリュフォー監督のご自身の少年時代の回顧でもあるのだろうけれど、観ている私もすんなりと思春期に戻ってゆくような優しいメルヘン的な映像詩が綴られているように想い大好きな映画!素人子役たちをこんなに沢山起用してこんなに素晴らしい映画にされた。トリュフォーの子供たちに対する深い愛情がどれだけのものか!!と胸を打つ。ジュリアン少年が身体検査で体中に傷があることで、彼が親からの虐待を受けていたことが分かる。多分、私がこうした子供の虐待による傷(心も)を映像で最初に観たもの。なので、劇中の子供たちと同じ様に私もとっても驚き、困惑したものだった。思春期の淡い恋心や友情も織り込まれながらも、このような描写もある。そこにトリュフォーの訴えかけてくる力を感じる。それはとても辛辣でもありリアルに感じるもの。なので、好きなのだと想う。ただの少年少女映画を作って儲けようなどとは微塵も想ってはおられない。他の作品からも窺えるけれど、トリュフォーの心、映画への愛、その強さが私の心に突き刺さる☆
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