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2010年7月5日月曜日

『シネマ蒐集 VOL.3』 映画『まぼろし』のマリー役について語るシャーロット・ランプリング



「このマリーの役は、一つの役というよりはこれまでの人生の集大成といったことかもしれません。誰もが通らなければならない道なのです。私の姉は20歳のときに自殺しました。母は姉の死後もずっと姉が生きている如く思い出に生きようとしました。私はといえば、彼女を弔うどころか忘れようとしたのです。でも、死んだ人をいつまでも放してあげないということも問題です。ある時、死後の世界に旅立たせてあげなくてはいけないのではないでしょうか。」by シャーロット・ランプリング

 日本で公開直前のインタビュー記事より。2001年、大阪の今はもう無い小さな映画館で観たもの。観終えた私はお仕事に戻る為に、その帰り道を呆然とフラフラと歩いていたと思う。涙がいつまでも止まらないまま。雑誌の整理をしていたら出てきたこの記事。偶然は有り得ない。当時の私はこのインタビューを繰り返し読んだ。そして、今、ようやくこのお言葉に頷くことが出来るようになった...まだ不安定だけれど、私も両親の死をやっと受け入れる用意ができるところまで。小学生の私をあの視線が釘付けにした。そして今も。特別な思い入れの強いお方。それにしても、素晴らしい作品。オゾン監督を見直した作品であり、ランプリングでなければ!という静かで美しい崩れゆくさま。挿入歌でバルバラのシャンソンも流れる。

 上記の拙文は2006年5月29日に記したものです。それから4年経た今の私も然程当時と変化はないかもしれない。けれど、やはり「死」を受け入れることは難しい。最愛の人ならば一層...。シャーロット・ランプリング!私はまだ11歳か12歳という子供の頃に『愛の嵐』で知ったお方。私の初恋の女優さま。幼い私が強烈な衝撃を受けた...ダーク・ボガードも然り。上手く綴れないけれど、敬愛してやまぬ私の父を想う。自覚はまったく無かったけれど、どうもファザコンであったらしい。そんな自分を言葉に出来るようになったのは、少しばかり成長したのかもしれない。映画『まぼろし』はマリーと同じ50代になった頃、観直すとまた違った想いを抱くのだろうな...とも想う。重く哀切な美しい映画を今はない小さな劇場で観れたあの思い出(空間)は忘れることは無いだろう。

まぼろし/SOUS LE SABLE
2001年・フランス映画 
監督:フランソワ・オゾン 脚本:フランソワ・オゾン、エマニュエル・ベルンエイム、マリナ・ドゥ・ヴァン、マルシア・ロマーノ 撮影:アントワーヌ・エベルレ(第一幕)ジャンヌ・ラポワリー(第二幕)
音楽:フィリップ・ロンビ 出演:シャーロット・ランプリング、ブリュノ・クレメール、ジャック・ノロ、アレクサンドラ・スチュワルト、ピエール・ヴェルニエ、アンドレ・タンジー

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