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2010年8月4日水曜日

『夢の宝石箱 VOL.5』 「絵葉書(ポストカード)の起源は19世紀末」


 私がとっても小さな頃、従兄弟のお兄さんが東京に行って来たお土産に頂いたものの中にポストカード・セットと東京タワーの日めくりみたいになったブリキのカレンダーがあった。多分、私の記憶する最も古いポストカードのこと。兵庫ののどかな町で生まれ育った私には、東京は同じ日本でもとても遠い存在と感じていたものだ。仲良しのお友達から頂いたアンティーク・ポストカードやちょこちょこと自分でも買っていた(レプリカものも含めて)、そんな生まれる前の絵葉書がいつの間にかファイルに何冊かとなっている。私はコレクションしてはいないのだけれど眺めるのが好き。ひとつの芸術、文化、通信手段として今も世界中で使われているものなので。

 さて、起源は...と調べてみると実はドイツのようだ(説は他にもあり複雑)。私は大好きなサラ・ベルナールなどの女優さまのポストカードたちやミュシャたちの活動に興味を持つ中で、フランスかイギリスかと思っていた。何事にも起源があり、そこから広く開花し受け継がれていくもの。ドイツの工場の広告用に製造されたのが最古で1888年だそうだ。ベルリンに住むフライリッヒ・フォン・ヘンデルという工場主がお得意様たちに宛てたもの。しかし、その実物は現存しないらしくどんなものだったのかは知る由もない(私製絵葉書のことだと思うのだけれど、どのように異なるのか資料でもその様子が残っていれば...と残念に思うし、よく区別出来ずにいる私)。

 絵入りポストカードとなると、1867年のウィーンのエマヌエル・ヘルマン博士というお方が作り、19世紀末以降フランス(ベル・エポック)や英国(エドワーディアン)で隆盛を極めることになる。その後の戦争が無ければ、もっと現存した多種に渡る素敵で愛らしく面白いものが見れたかもしれない。著名な芸術家たちだけではなく、名も知れぬ人々がどなたかに贈ったものやお祝いに添えたものたちが膨大な数として世界中で往来していたのだと思うと楽しい。

 好きな題材を含むのでまた、時折ポスターなど(映画にも繋がるもの)と共にこの素敵な愛すべき芸術について綴ってみようと思う。日本では明治時代に隆盛を極めたようで、海外の絵葉書の中にはジャポニズムと分類されるものもあるので、欧州と日本の文化がお互いに影響しあった(絵画など芸術全般に言えることだろうけれど)のだという歴史を眺めたりするだけでもとても安堵する。

 (記:2007年6月11日)

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